2021/05/17
| 更新
2021/05/24
au初のカメラ付きケータイの画素数は?携帯カメラ進化の歴史を実機で検証
いまやスマホカメラの画素数は「1億」の大台に達し、プロユースのカメラと肩を並べるほどの高スペック化を遂げ、いつでもどこでも思いのままにきれいな写真が撮れるようになった。
思い返してみれば「ガラケー」から搭載がはじまったケータイカメラでは、どんな写真が撮れていたのだろうか……。そこで、KDDI社内に保管されている初代カメラケータイからauの歴代ケータイカメラを再起動して検証。実際の画像とともに、ケータイカメラの進化の歴史を紹介しよう。
auにおけるケータイカメラのはじまりは「外付け」仕様だった
1999年、携帯電話対応のインターネット接続サービスがスタート。ケータイカメラは、インターネットメールのほか、銀行振り込み、ライブチケットの購入、タウンページ検索などのオンラインサービスがケータイで利用可能になったタイミングに始まった。ちなみに、PHSと携帯電話の電話番号が10桁から11桁になったのもこの年のこと。
そんな激動の時代、au初のケータイカメラとなったのが、2000年に登場した「PashaPa(パシャパ)」。ただ、こちらは一体型ではなく、ケータイの端子にカメラユニットを接続するというものだった。
PashaPaは10万画素の小型カメラで、撮影画像サイズは2パターンが選択でき、ノーマルで120×120ピクセル、ノーマルよりも大きいCIFというフォーマットでは352×288ピクセル。CIFでは、ケータイで写真を見ることができず、パソコンなどに送信してから閲覧できる仕様だった。
驚くべきは保存枚数の少なさだ。ノーマルで約30枚、 CIFでは約3枚。連写でバシバシ撮影ができるスマホとは、まだまだ大きな差のある時代だった。
続く2001年にはフラッシュ機能を搭載したPachaPa 2を発売。
ともに、実機は「KDDI MUSEUM」にて展示されている。
実機で検証
ここからは実機にて検証をスタート。初代カメラケータイはもう20年近く前のケータイであることから、ただ充電しただけでは起動しない可能性があり、今回、秘密兵器として写真中央のマルチ電源を用意して撮影に挑んだ。再起動に協力するのは、KDDIの電池先生こと新保恭一と助手の入澤雄樹。
試したところ、やはり普通の充電では起動しない状態だったため、電池を外し、電池端子に電池と同じ電圧をかけ、電流を直接流すことで起動を試みた。
新保によると、古いケータイは製造メーカー、モデル、時代によって給電仕様が異なることが多く、バッテリーも劣化しているものがほとんどのため、20年近く経った今では普通に充電しても起動しない場合が多いとのこと。今回は専門家による特別な接続方法と機材で、なんとか起動できた。
では、あらためて実際の写真を見てみよう。
2002年発売のau初のカメラ内蔵のケータイで撮影
まずは、パシャパ発売から約2年後の2002年に発売されたau初のカメラケータイ「A3012CA」(カシオ)だ。
A3012CAは35万画素のCMOSカメラで、当時としても最高クラスの画質だった。その撮影画面を見てみよう。
A3012CAの画像サイズは、写真付きメールで送受信ができる「ケータイモード」と「PCモード」の2種類。ケータイモードのサイズは120×160ピクセル、PCでしか表示ができないPCモードでも640×480ピクセル。今回は色鉛筆を撮影したのだが、画面の粗さもあいまって、今見ると非常に昔の印象を受ける。
また、一連の撮影の流れを見るとわかるように、ケータイを動かすと被写体の追随性が悪く、「保存中」の表示がしばらく続くように、撮影データをメモリに書き込む処理スピードも遅い。
一方で、この当時から、フレームやセルフタイマーなども機能があったことにも驚きだ。
何より、「いまどんな旅先にいる」「こんな美味しい料理を食べた」という文字だけのメールに、写真という説得力が加えられるようになったことは画期的な出来事だった。以降のケータイにカメラの搭載は標準となり、ケータイコミュニケーションの幅がグッと広がる契機となっていく。
プリントアウトも可能。「メガピクセル」時代に突入
続いて、「A3012CA」の翌年、2003年に発売された「A5401CA」(カシオ)。
こちらは、124万画素のCCDを搭載したau初のメガピクセル機。光学のマクロ撮影モードのほか、自撮りは背面ディスプレイをファインダーとして利用することができた。さらに、暗がりでも被写体を照らせる撮影補助照明も搭載。たった一年で画素数が30万から100万の世界に入ったことに驚きを隠せない。
最高画質は1,280×960ピクセル。「A3012CA」にはなかった撮影時にズームや明るさ、照明、ディスプレイ切り替えのショートカットキーも使えるようになり、メモ代わりの記録としての撮影から、デジカメに一歩近づいた時代の1台だ。
さっそく撮影をしてみる。「A3012CA」からは一変して、ケータイを動かしても画面との追随性が改善され、液晶画面に被写体を捉えやすくなっている。
オートフォーカスや手ブレ機能はまだ搭載されていないものの、画像処理が格段にアップし、手ブレも起きにくい。色調も「A3012CA」に比べ、格段に明るく鮮やかな仕上がりだ。
写真の進化に対し、当時のメールは添付制限(1通のメールにつき5データ:最大100KB)があり、せっかくの最高画質で撮影した写真も、ケーブル経由でPCに保存してPCメールで使用するか、プリントして楽しむといった時代だった。
しかしメガピクセルモデルの登場以降、ケータイカメラは300メガピクセル、400メガピクセルと進化。「フレームの加工」など、さまざまなメニューも搭載し、デジカメ全盛の時代にケータイカメラは徐々に市民権を得るようになり、メール機能の進化を経て現在の「写真のエンタメ化」を後押ししていったのだ。
ケータイカメラは「ほぼデジカメ」時代に
最後に検証したのは、スマホ登場の直前、2007年に発売された「W53CA」(カシオ)。
メガピクセルからさらに進んだ515万画素のCMOSを搭載し、解像度も2,560×1,920ピクセル。パシャパの352×288ピクセルやA3012CAの640×480ピクセルと比べると、その違いは一目瞭然。
背面には28mm(35mmフィルムカメラ換算)の大型レンズを搭載。シーン別撮影機能などに加え、手ぶれ補正や高感度低画素モード、オートブラケットなど、さまざまな撮影に対応できる、「ほぼデジカメ」な仕様になっている。
その形状のため、タテ写真がデフォルトだったケータイカメラだが、このモデルは回転ヒンジをくるりと回すことで、カメラでは当たり前のヨコ写真が撮影できた。
「W53CA」は、デジカメでも使用している画像処理エンジンを内蔵。これまで検証した機種に比べ、格段にサクサクと撮影ができる。解像度は最高画質の2,560×1,920ピクセルから120×160ピクセルまでの10モードから選択が可能。
「W53CA」発売の前年、2006年に第3.5世代移動通信システムを用いたサービスが次々に開始され、通信速度の向上により、高画質データをメールでスムーズにやりとりが可能になったことも、この時期のケータイカメラの高スペック化を後押しした要因のひとつでもあった。
そしてスマートフォンの時代
2007年にAppleがスマートフォン「iPhone」を発表。多機能を詰め込み進化していったケータイはスマホへと移り変わり、さらなる進化のステージに突入している。初代ケータイカメラの登場から約21年。時代とともに変遷していったケータイカメラの歴史を、下記のサイト「ケータイ図鑑」を眺めながら振り返ってみてはいかがだろうか。
文・撮影:TIME&SPACE編集部
※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。