2021/04/12

全国のドローン運航情報を統合管理 auの通信網を活用した『ドローン管制システム』とは

空撮、測量、点検、警備などさまざまな分野で実用化が進み、今後もさらなる応用が期待されるドローン。その活用範囲を広げるためには、どんな場所でも完全自動で運航できる安全性が欠かせない。特に都市部においては複数のドローンが密集して運航することも想定されるため、個々のドローンだけでなく、ほかのドローンやヘリコプターなど周囲の情報を得ることも不可欠となる。

KDDIのスマートドローン KDDIのスマートドローン

そんななか、2016年より通信を活用した目視外の完全自律飛行が可能な「スマートドローン」の開発を進めてきたKDDIは、人口カバー率99%を超えるauの4G LTEネットワークで全国のドローン同士をつなぎ、すべてのドローンの運航情報の統合管理を可能にする「ドローン管制システム」を開発。2021年3月、兵庫県赤穂郡上郡町・たつの市、三重県志摩市、宮城県仙台市の全国3カ所で、用途や目的が異なる全9機のドローンを同時に飛行させる実証実験を行った。

ドローンの管制イメージ ドローンの管制イメージ
ドローン実証実験の実施エリア ドローン実証実験の実施エリア

全国3カ所で全9機のドローンが同時に飛行

兵庫県の播磨科学公園都市で行われた実証実験では、日本航空(JAL)やセコムといった企業も参加し、計4機のドローンの飛行を実施。複数の事業者が播磨科学公園都市のような実フィールドで同時にドローンを運航する実証実験は国内でも類を見ない試みである。

KDDIドローン管制システム KDDIドローン管制システム
ドローン実証実験の参加メンバー 左から、セコム 技術開発本部 開発センター 尾坐幸一さん、KDDI 事業創造本部 ビジネス開発部 杉田博司、同・山崎 颯、日本航空 デジタルイノベーション本部 エアモビリティ創造部 久根﨑将人さん

空の移動に関わる安全・安心運航のノウハウを活かし、医療分野におけるドローン物資輸送のビジネスモデルの構築を進めているJALは、医療品の配送を想定した飛行を実施。KDDIの飛行制御システムを活用し、リハビリテーション西播磨病院から1.8km離れた地点まで、遠隔診療後の医薬品配送を行う実証を行った。

JALの物流ドローン
JALの物流ドローン
JALの物流ドローン

ドローンに搭載された医薬品の重量は約500g。医薬品は比較的軽量であり、緊急に必要とされることが多いため、ドローンでの配送に向いている。

かねてよりKDDIと共同でドローンやロボットを活用した次世代警備の実現に向けた取り組みを進めるセコムは、公共施設の巡回警備を想定した飛行を実施。警備ドローンで巡回中に不審者を発見、追尾する一連の流れを実証した。

警備ドローン
警備ドローン
警備ドローン

ドローン搭載のカメラで撮影したストリーミング映像は、離れた場所からリアルタイムで確認可能。不審者の発見、追尾に役立てられる。

セコムの警備ドローン

旭テクノロジーは太陽光パネルの点検用ドローンの飛行を実施。このドローンは赤外線カメラを搭載し、太陽光パネルの亀裂箇所の確認など詳細なデータ解析を行うことができる。

旭テクノロジーの点検用ドローン
旭テクノロジーの点検用ドローン

レッドドットドローン社は空撮ドローンの飛行を実施し、サッカーの試合中の映像を撮影。選手の動きを分析することで戦術支援に役立てることができる。

レッドドットドローンの空撮ドローン
レッドドットドローンの空撮ドローン

同じ頃、三重県志摩市では地震や津波といった災害時における広域把握を想定した実証実験を実施。国際航業とKDDIの2機のドローンが海岸や市街地の上空を巡回し、津波発生後の被災状況の情報収集のほか、雨水や生活排水などを海に排水するための排水機場や堤防の状況把握を行った。

ドローン実証実験の広域把握ドローン

災害時はヘリコプターの飛行が多くなることが想定されるため、それらの衝突を回避するためにも、複数のドローンの運航情報を統合管理できる管制システムが不可欠となる。

ドローン実証実験の広域把握ドローン

宮城県仙台市における実証実験では、地域に根ざした持続可能なドローンビジネスの確立を目指し、用途の異なる3機のドローンが飛行した。

ドローン実証実験の物流ドローン

物流用のドローンは、災害時に道路が寸断されたことを想定した飛行を実施。孤立した避難場所に非常食などを届けた。

ドローン実証実験の警備ドローン

警備用のドローンは、この地域の課題となっている有害鳥獣の生態調査のための飛行を実施。赤外線カメラを使って遠隔で探索を行った。

ドローン実証実験の点検ドローン

点検用のドローンは、自律飛行と手動操縦を組み合わせた施設点検を実施。ドローンで撮影した画像から3Dデータの作成も行った。

運航情報を統合管理し、衝突を未然に回避

全国3カ所で同時に行われた、KDDIによる「ドローン管制システム」の実証実験。それぞれの場所で飛行した全9機のドローンは、目的も機種も運用者も異なるが、すべてのドローンの運航情報(飛行ルート、飛行位置、高度、スピードなど)は4G LTEネットワークを通して「ドローン管制システム」に集約され、画面上にてリアルタイムで確認や管理が可能となった。

KDDIドローン管制システム
KDDIドローン管制システムのイメージ ドローン管制システムのイメージ

「ドローン管制システム」の狙いは、ドローン運航時の安全性を確保すること。それぞれのドローンがauの4G LTEのネットワーク経由でつながり、すべての運航情報を統合管理することで、ドローン同士の衝突を事前に検知し未然に防ぐことが可能となる。auの4G LTE網が全国に張り巡らされ、安定した通信環境が整備されているからこそできることだ。

auの4G LTEネットワーク

また、ヘリコプターなどの有人機情報もあわせて管理することも可能で、ドローン同士だけでなくドローンと有人機の衝突回避にも役立てることができる。

KDDIのドローン管制システム
KDDIのドローン管制システム
KDDIのドローン管制システム

このように、ドローン同士が300メートル以内に接近すると、画面上に警告が表示され、衝突を未然に回避することができる。これは個々のドローンのみを制御、管理する従来のシステムではできなかったことだ。

通信が広げるドローンの可能性

KDDIでドローン事業を担当する山崎 颯は、今回の実証実験について「複数の事業者とともに、全国規模で技術検証ができたことは、今後のドローンのさらなる実用化に向けて大きな前進になった」とその意義を語る。

KDDI 経営戦略本部 ビジネス開発部 山崎 颯 KDDI 経営戦略本部 ビジネス開発部 山崎 颯

「ドローンには社会を変える力があり、KDDIの強みである通信と組み合わせることで、その可能性はさらに広がっていくはずです。そんな思いで、スマートドローンプロジェクトに取り組んでいます。ドローン事業はKDDI一社だけで完結するものではありません。今後もさまざまな企業や地方自治体、官公庁などと連携しながら実証実験を重ね、ドローンが活躍する社会に貢献していきたいと考えています」

ドローン技術の進化や法整備が進み、有人地帯での目視外飛行が可能になれば、物流や警備など人手不足が進む業界の課題解決にもつながっていく。これからもKDDIは、通信のチカラを活用したスマートドローンの開発を進め、社会や暮らしをつなぐ取り組みを続けていく。

撮影:稲田 平
文:榎本一生

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