2021/01/21

フェイクニュースにだまされるな!『ファクトチェック』で安心・安全なデジタル社会へ

インターネットの普及により、あらゆる情報を瞬時に簡単に入手できるようになった。しかし一方で、誤情報や偽情報がSNSを通じて急速に拡散されてしまい、ネット利用者は健全な情報を判断しにくくなるという負の側面も生まれている。誤情報や偽情報は市民の理性的な判断を妨げるおそれがあり、社会の分断にもつながりかねない。

最近では米国大統領選挙や日本学術会議関連で多くの誤情報や偽情報が出回ったが、とりわけ問題視されているのは新型コロナウイルスに関する情報だ。「◯◯◯が新型コロナウイルスに効く」「◯◯◯を飲むと新型コロナウイルス予防に効果がある」といった真偽不明な情報に触れたことがある人は少なくないだろう。

総務省の調査によると、4人中3人が新型コロナウイルスに関する誤情報や偽情報に「ひとつでも見たり聞いたりした」ことがあると回答。また、若い世代ほど正しい情報と信じてしまう傾向があり、SNSなどを通じて共有・拡散してしまった経験がある比率が高いことがわかった。

新型コロナウイルスに関する間違った情報や誤解を招く情報への接触状況(出典:総務省「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査(2020年6月発表)」 新型コロナウイルスに関する間違った情報や誤解を招く情報への接触状況(出典:総務省「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査(2020年6月発表)」

新型コロナウイルスに関する間違った情報や誤解を招く情報を拡散・共有した経験(出典:総務省「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査(2020年6月発表)」 新型コロナウイルスに関する間違った情報や誤解を招く情報を拡散・共有した経験(出典:総務省「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査(2020年6月発表)」

新型コロナウイルスに限らず、世の中に出回るあらゆる情報について、信頼性の高い情報源の選択や、情報の真偽に対する意識を一人ひとりが持つことが重要となる。

誤情報に惑わされにくい健全な社会を

誤情報や偽情報が氾濫するなか、世界的に注目されているのが「ファクトチェック」だ。日本におけるファクトチェックの推進・普及活動を行うNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(以下FIJ)の楊井人文(やない・ひとふみ)さんによると、ファクトチェックは誤情報や偽情報に惑わされにくい健全な社会を構築するうえで欠かせないものだという。

NPO法人ファクトチェック・イニシアティブ 理事兼事務局長/弁護士 楊井人文さん NPO法人ファクトチェック・イニシアティブ 理事兼事務局長/弁護士 楊井人文さん

「ファクトチェックとは、社会に広がる情報の真偽を第三者が調査・検証し、そのプロセスを記事化して正確な情報を人々と共有する営みのことです。単なる『事実確認』とは似て非なるもので、FIJでは『真偽検証』という訳語をあてています。日本におけるファクトチェックの取り組みは海外に比べて遅れをとっていましたが、近年その活動の必要性がようやく認識されつつあります」

ファクトチェックの大切さを広く伝えるために、そしてその担い手を広げるために、FIJは国内外の動向調査や情報発信、メディアと市民の協働プロジェクト、ファクトチェックメディアへの技術的な支援などさまざまな活動を行っている。

ファクトチェックの取り組みについて意見交換を行うメディアパートナー会議 ファクトチェックの取り組みについて意見交換を行うメディアパートナー会議
FIJによるファクトチェックの取り組み FIJによるファクトチェック支援概念図

ファクトチェックの担い手を広げる

FIJはファクトチェックの普及活動の一環として、2020年8月、KDDIグループの社会貢献活動の一翼を担う公益財団法人 KDDI財団のサポートのもと、ウェブアプリ「ファクトチェック・ナビ」をリリースした。

ファクトチェック・ナビでは、毎日新聞社、産経新聞社、バズフィードジャパンをはじめとするメディアパートナーによるファクトチェックの成果をニュース形式で公開しているとともに、一般の市民ユーザーにも広く情報提供を呼びかけている。

「ファクトチェックは一部の限られたメディアだけが行うものではなく、また検証によって導き出される答えもひとつとは限りません。大切なのは、団体か個人かを問わず、数多くの主体がファクトチェックを実践すること。ファクトチェック・ナビで一般市民の参加を促しているのは、より多くの人がファクトチェックに参加できる仕組みを構築することが、誤情報に惑わされにくい環境を生み出し、社会の分断を抑止する有効な手立てになると考えるからです」(楊井さん)

KDDI財団が助成を行う狙いとは

KDDI財団にて助成事業を担当する吉田真奈美と榊香緒里は、FIJに助成を行う狙いを次のように語る。

KDDI財団 助成事業部 吉田真奈美、同 助成・企画管理部 榊香緒里 KDDI財団 助成・企画管理部 吉田真奈美(左)、榊香緒里(右)

「私たちKDDI財団は、現在、調査研究助成、留学生助成など、計9つの助成プログラムを実施しています。FIJさまへはICT(情報通信技術)を通じて社会、教育などの課題解決に貢献するNPOやNGOなどへの助成プログラムである『社会的・文化的諸活動助成』で支援をしました。フェイクニュースが氾濫する昨今、FIJさまへの助成を通じて、市民の情報リテラシーを高めることは公共性が高く、今後のICTの発展において重要なことだと考えます」(KDDI財団 助成・企画管理部 吉田真奈美)

「KDDI財団ではKDDIと同様にSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを進めています。安心で豊かなデジタル社会の構築も目標のひとつであり、ファクトチェックの普及を目指すFIJさまの活動は当財団の理念である『ICTの恩恵を広く社会に還元し、情報通信による世界の調和、健全な発展に寄与すること』にも合致しています」(KDDI財団 助成・企画管理部 榊香緒里)

KDDIのSDGs

安心・安全なデジタル社会の構築のために、そして社会の持続的な発展のために。KDDIグループはこれからも、より良い社会の実現を目指し、通信事業者としてさまざまな取り組みを進めていく。

文:TIME&SPACE編集部

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。