2021/01/15
| 更新
2021/06/09
5GとXRの新映像体験!KDDIから発売されたスマートグラス『NrealLight』を試した
見た目は “少し大きめのサングラス”だが、装着するとレンズ内にウェブサイトや動画が映し出される。そんなデバイスがすでに現実のものになっている。KDDIから登場したスマートグラス「NrealLight(エンリアルライト)」だ。
NrealLightは、KDDIが「Nreal(エンリアル)」社と共同開発したスマートグラスだ。スマートグラスとは、メガネのように装着することで、目の前にある現実の世界とデジタル映像やデジタル情報を重ねて表示することができるウェアラブルデバイスのこと。
5Gスマホと接続して使用し、5G通信とXR技術を駆使してこれまでにない映像体験ができるというNrealLightだが、それは一体どんなものなのか。実際にau 5Gスマホとつないで、TIME&SPACE編集部員が体験、その着用感や使い方、便利なポイントなどをレポートする。
NrealLightはどんなスマートグラスか
NrealLightはサングラス程度のサイズで、重さは約106g(ケーブル除く)。5Gスマートフォンと接続して使用するタイプなので、コンピューティングユニット一体型のスマートグラスと比べてかなり軽い。5G通信とXR技術を活用した映像体験を、より手軽に楽しめるようになったというわけだ。
XRとはVRやMRなど、現実の世界とデジタルでつくり上げられた仮想世界を融合させて表現する技術だ。このスマートグラスひとつで、目に見える現実の風景にデジタル映像を重ね合わせて表示したり、デジタルで作られた仮想の世界に没入したりすることができる。
NrealLightは、従来のAndroidアプリをスマートグラスで利用できる「Nebula(ネブラ)」というシステムを搭載し、「MRモード」と「ミラーリングモード」という2つのモードが使える。
・MRモード
MRとは「Mixed Reality=複合現実」のことだ。NrealLight のMRモードでは、レンズを通して見える現実の風景にウェブブラウザや動画配信サイトなどのアプリを重ね合わせて表示し、使用することができる。
NrealLightのMRモードでは最大で同時に3つのアプリを使用することができる。上がそのイメージ。現実の風景にアプリなどのデジタル映像を重ね合わせて表示する点はAR(augmented reality=拡張現実)と同じだが、MRは位置関係まで認識し、あたかもその場所に本当に存在しているかのように表示することができる。そのため、近づけば映像は大きくなるし、回り込めば側面や裏側を観ることもできる。
また、VR(Virtual Reality=仮想現実)はVRゴーグルなどを利用して、現実の空間から視界を遮断してデジタル映像のみで構成された仮想現実の世界を体験する点で、MRやARとは異なる。
・ミラーリングモード
接続したスマホの画面がそのままグラス内に映し出される。NrealLightが、いわばスマホのセカンドスクリーンとして使える。
上の画像は、ミラーリングモードの使用イメージ。現実の風景にスマホの画面に映っている要素がそのまま映し出される。映像との距離は一定で、近づいても見え方は変わらない。仮想スクリーンのサイズは100インチ規模の迫力だ。
NrealLightには、スマートグラス本体とケース、サイズ違いのノーズパッドが4つ、視力の補正が必要な場合にグラス内部に装着するメガネレンズ用アタッチメント、映像視聴する際にレンズを非透過にすることで没入感を高めるカバーが同梱されている。価格は税込みで69,799円。対応スマートフォンは「Xperia 5 II SOG02」「Galaxy Note20 Ultra 5G SCG06」の2機種(※)だが、今後追加予定だ。
※2021年1月13日現在
なにができる?実際にNrealLightを編集部で試してみた
最先端のXR技術をコンパクトなスマートグラスに結集させたNrealLightをTIME&SPACE編集部員が体験してみた。
まず驚かされるのは、装着の手軽さだ。普通のサングラスのように“かける”だけ。素材は弾力性に富み、ノーズパッドの感触も柔らかで窮屈さはない。フレームの幅を調整する機構はないが、フロントとツルをつなぐパーツにバネが内蔵されていて、何人かの編集部員で実際に装着してみたが、違和感なくフィットした。
ちなみに普通のメガネが20〜30g程度なのに対し、NrealLightは106g。差は大きく思えるかもしれないが、かけてみるとそこまでの重さは感じなかった。
使い方もとても簡単。複雑な設定は必要なく、NrealLightのUSB Type-Cケーブルをスマホに接続すれば、Androidアプリをスマートグラスで利用する際の機能やホーム画面を提供する「Nebula」アプリが自動的に起動する。
こちらはスマホで起動されたNebulaアプリの画面。中央の白っぽい長方形が、タッチパッドの役割を持ち、これで選択や決定を行う。
初期設定でNrealLightはMRモードになっており、Nebulaを起動したグラス内では、こんな風景が見えている。
体験場所は編集部の会議スペース。椅子とソファが写り込む現実の風景に、Nebulaアプリのメニューが表示されている。解像度が低く見えるかもしれないが、これは動画キャプチャによるもの。実際には非常にクリアに見える。
手前から奥に伸びるビームは手にしたスマホから放たれているもの。スマホを動かせばレーザーポインターのように動き、これがいわばカーソルになる。
写真の下部にある「+」ボタンを押すと、スマホの中にある任意のAndroidをメニュー画面への追加や、アイコンのグルーピング、位置調整が可能だ。
グラス内に映し出されたアイコンや再生ボタンなどをビームで狙って、スマホ画面のこのタッチパッドをタップして決定するのだが、ビームがアイコンに当たるたび、手にしたスマホがカリカリとかすかに震える感触が心地いい。
まるでSF映画!仮想モニターが空中に複数出現
ではNebulaを使ってアプリを立ち上げてみよう。
グラスの中のNebulaのメニューからGoogle Chromeのアイコンを選んでタップするとブラウザの画面が宙に出現した。
レンズ内のディスプレイ解像度は1,920×1,080のフルHDという高精細。いまアプリを立ち上げているこのスペースは日中の室内程度の明るさなのだが、アプリの画面はとても見やすく表示されている。
スマホを動かすことで画面の位置を調整したり、画面表示位置の遠近や大小を調節することもできる。
続いてYouTubeを立ち上げてみると、先に表示していたGoogle Chromeと重なって画面が現れる。
Google フォトを立ち上げると、これらにまた重なって表示される。それぞれの画面を並べて同時に見られるように調整することも可能だ。これはもうSF映画で観た世界そのもの!
文字入力の必要がある場合は手元のスマホにキーボードが表示され、そこからは入力することになる。目の前に現れるデジタル画面を見ながら、手元に視線を落として「現実」のスマホから文字入力を行うのは、まさにMR(複合現実)。完全に視界を遮断し、仮想世界だけを体験するVRとは大きな違いを感じる。
また、これもMRならではなのだが、自分が動いても表示されているアプリ画面は固定されている。なんとも不思議な感覚だ。近づいてみると、下の画像のようにまるで厚みを持った“板”のように見える。
屋外でも使ってみた
NrealLightは小さく軽く、スマホと接続して使用する手軽さもポイントなので、屋外で使用することも想定されている。
試しに同じMRモードで、空に向けてアプリを立ち上げてみた。下の画像の背景に映っているのは壁紙ではなく、NrealLight越しに見える現実の東京の空である。だが、晴れの日に使用する場合、スマホと同じく日差しの影響で画面が薄く見えるので、今後の進化に期待したい。
軽さもさることながら、つねに現実の風景が見えていることが意外と安心で便利だった。ペンを落としてもすぐ拾えるし、普通にお茶も飲める。そうした点でも非常に使い勝手は良い。
次々出てくるNrealLightのサービス
こうしたMRの技術を生かして、KDDIではNrealLightを通じてさまざまなサービスを提供しようとしている。
・AR会議システム
アメリカのアプリケーションデベロッパが開発した「Spatial(スペーシャル)」というAR会議システムは、NrealLightを装着した参加者同士がアバターを介して会議を行うというもの。目の前の空間に、参加者のアバターが現れ、臨場感あふれるコミュニケーションを取ることができる。
・ARゲーム
SEGAが1999年にリリースし、20年にわたってアップデートし続けてきた人気音楽ゲーム「スペースチャンネル5」の新作「スペースチャンネル5 AR 体験版」を、NrealLightの発売に合わせて公開。モロ星人やプリン、オドリダンといった人気のキャラクターたちがNrealLightを通して目の前に現れる。
また、大容量データの高速処理が可能なクラウドゲーム「GeForce NOW Powered by au」をARの大画面でプレイすることも可能。プロのドローンパイロットの世界を体験できるドローンレースゲーム「DCL - The Game」、サッカーとドライブゲームのハイブリッド「ロケットリーグ」などを楽しむことができる。
・AR作品のギャラリー
世界中のアーティストによるAR・VR作品を楽しむことができるアプリ「STYLY for Nreal」も公開。コンテンツはすべて「STYLY Studio」という無料のWebブラウザツールで制作されており、誰にでも3Dクリエイションの扉を開く。
仮想100インチの大画面!ミラーリングモード
さてNrealLightには、もうひとつミラーリングモードがある。スマホの画面がそのままグラス内に表示されるモードだ。NrealLightがスマホのセカンドスクリーンとなる。そこで、NETFLIXで動画を視聴してみた。
リリースの情報では、目の前に約100インチ相当の画面が表示されるとのことだが、なるほど、たしかにグラス内に巨大スクリーンが現れた。スマホでもテレビ画面でもPCでもなく“眼の前にスクリーンがある”という初体験。
30分の連続アニメを1本見たのだが、映画館のような満足感が得られた。またバッテリーは断続的に使用して、3時間程度は問題なく使えた。
ツルに内蔵されたスピーカーからの音声は非常にクリア。だが音量によっては周囲にも響くので、公共の場で動画視聴する際は、ワイヤレスイヤフォンの使用が圧倒的におすすめだ。そしてなにより、鑑賞する姿勢が自由すぎる。座っても寝転がっても立ち上がっても、目の前に巨大スクリーンがあり続ける。これは今までにない映像体験だ!
NrealLightはまったく新しいタイプのデバイスとして世の中に出たばかり。今後もっといろいろなことが楽しめるようになるはずだ。
さらにサービス充実!どんなふうに使えるかにワクワク
ビジネスシーンやエンターテインメント分野など、NrealLightはさまざまな分野での活用が期待できそうだが、生まれたばかりの新しいデバイスだ。NrealLightの製品化を担当するKDDIの王健は、「今後はお客様と一緒にどのように展開させていくかを考えていきたい」と言う。
「NrealLightはまったく新しい製品ですので、こういうふうに使ってほしいといった、使用方法を限定するようなプロモーションはしていないんです。国内外のさまざまなジャンルのメーカーからの問い合わせや提案も多いのですが、まずは試していただいたお客様の声を汲み取って、一緒に進化していけるようなプラットフォームにしていきたいと思っています。
ちなみに私は、NrealLightのミラーリングモードでシューティングゲームを楽しんでいます。スマホはスタンドで固定したコントローラを使うと、より没入できるんですよ!」
NrealLightは「Mixed Reality=複合現実」という、5G高速通信のメリットを生かした、これまでになかったような新しい体験をもたらしてくれるデバイスといえる。夢で見た未来がどのように現実になっていくのか。KDDIがお届けするワクワクする未来に今後も注目いただきたい。
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NrealLightはここで!
NrealLightは、現在、KDDIのコンセプトショップ「GINZA 456 Created by KDDI」で実際に体験いただけます。
※新型コロナウィルス感染拡大に伴い、現在予約受付を停止しております。また、全国23カ所のKDDI直営店で展示・販売中。au Online Shopでも購入できます。
文:TIME&SPACE編集部
撮影:HAYASHI★2000
※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。