2020/03/30

『私立ゴブリン高等学校』の校歌を作って合唱したい

こんにちは。ライターのヤスミノです。

だしぬけに最近KDDIが公開した『音のVR』について話しますね。

 

 

「音のVR」とは、360度動画の見たい・聴きたい部分に自由自在にフォーカスできるアプリ。


プロ合唱団である東京混声合唱団とともに企画・制作したそうです。

 

例えばこういう合唱風景の動画で「ソプラノをもっと聴きたい」という時は、そのパートに寄ると……映像だけでなくその場所の音声も大きくできるわけです。

「ここを見たい」にフォーカスできるのはよくありますが、「ここを聴きたい」が叶えられる技術って、今までなかったのでは?

 

これを見てて思いました。

 

校歌……

学校の理念や郷土の素晴らしさを、クラス全員で歌い上げるあの一体感……学生時代は何も考えずに歌っていましたが、卒業してしまえば、もう二度と校歌を歌う機会なんて無いのです。

 

 

ああ……

 

もう一度、みんなで心を一つにして校歌を歌いたい!

 

ということで同僚に僕の母校の校歌の楽譜を渡し、一緒に歌おうと提案してみたのですが……

 

「知らない学校の校歌なんて歌いたくない」

 

露骨にイヤな顔をされました。

誰もが『どうせ校歌を歌うなら、自分の母校のを歌いたい』のです。つまり同窓生でない限り同じ校歌を歌う喜びを共有するのは不可能。

 

それならばこう考えました。

 

誰にとってもまったく思い入れのない校歌であれば平等ですし、皆が気持ちよく歌えるはず。

 

例えば「ファンタジー世界の学校」の校歌なんて、夢があって良いのではないでしょうか。

ファンタジー世界にはエルフとかホビットとか妖精とか、様々な種族が生息しています。どの種族の学校も、特徴があって素敵な校歌になりそうですね。

 

……それならば、

 

ゴブリン族の高校の校歌を作りたい。

 

ゴブリンってかなり校歌に向いてると思いませんか? 数が多く、連携力があり、帰属意識は高い。これって理想の学校そのものなのでは?

 

そして何よりゴブリンっていつも雑魚キャラみたいな扱いで気の毒じゃないですか。この機会に彼らの学校、『私立ゴブリン高等学校』の校歌を作ってあげたい。

そして、その校歌をみんなと共有して歌いたいんです。

 

 

「私立ゴブリン高等学校の校歌」制作チーム

「私立ゴブリン高等学校の校歌」を作るべく、ゴブリンには一家言持った男たちを集めました。

 

ヤスリン「みなさんには『私立ゴブリン高等学校』の校歌を考えていただきたいのですが、“校歌の歌詞”って他の歌とは作りが違うというか、特徴がありますよね。

カトリン「確かに、例え学校の名前が入ってなくても、すぐに「あ、校歌だ」ってわかる。

ヤスリン「それらの特徴にゴブリンという種族の特性をかけ合わせたら、リアルな『私立ゴブリン高等学校の校歌』ができるのではないでしょうか。例えばどんな環境にある高校なのかとか……。

じゅくリン「ゴブ高の環境ねえ…。

ヤスリン「もう略してるじゃん。

 

ザンリン「校歌ってその土地を描写する傾向にあるじゃないですか。近くにある川とか、山とか。

ヤスリン「はい。静岡だったら絶対に富士山がでてくるでしょうね。

カトリン「滋賀だったら琵琶湖とかね。

ザンリン「そう。だからゴブリン高等学校の周辺の土地を、歌詞に入れましょう。

ヤスリン「なるほど……。滅びの森とかはありそうですね。子ゴブリンは親ゴブリンに「あの森で遊んじゃだめ」って言われて育つ。

じゅくリン「毒の沼地もある。

ザンリン「私は翼竜の塔があると思う。遠くのほうに魔王城が見える。

カトリン「ちょっと歩くと人間の村に行ける距離感。定期的に人間の畑を荒らしたりする。

ザンリン「ちょっと描いてみましょうか。

 

 

 

ザンリン「こういう感じですか。

じゅくリン「通学 楽そう。

カトリン「だんだん浮かび上がってきたね、ゴブ高。

 

じゅくリン「やっぱ魔王城は歌詞に入るんじゃない? 富士山みたいなもので、こぞって入れたくなる存在。

ヤスリン「でもゴブリンって魔王の命令とか聞かなそうですよね。もっと単純で野蛮なだけ。

カトリン「オークは武装したり、ちゃんと命令きいたりするけど、ゴブリンはもっと雑だよね。

ザンリン「歌詞に魔王城を入れられるかどうかっていうのは、魔王の直轄かどうかによるでしょうね。ハーピーの学校なら入るだろうけど、ゴブ高はどうだろう。

ヤスリン「魔王に対するリスペクトがなさそうだから、魔王城は入らないかもしれないですね。

ザンリン「遠い魔王城でなく、地元を大事にしてるから、近所の「沼地」という単語は入れたいですね。

じゅくリン「いいね。入れよう。

 

カトリン「あと校歌の歌詞といえば、その学校の教育理念とかが入るかな。

じゅくリン「『私立ゴブリン高等学校』はどんな方針なんだろう。そもそも教育があるのか。

ヤスリン「教育方針としては「野蛮」でしょうね。野蛮であることに誇りをもってそう。

カトリン「学びすぎるなという教えなのかもね。

ザンリン「「おまえ『数II』をやるなよ!」って怒られる。

じゅくリン「5より大きい数なんていらない、みたいな。

ヤスリン「野蛮であることは教育の結果。我々が知ってるゴブリンは優等生なんでしょうね。

 

じゅくリン「服装としては腰巻こん棒ぐらいだよね。学校指定のこん棒とかあるのかな。

カトリン「校門の前でチェックがある。「おまえ…こん棒のトゲが長すぎるぞ!」

ザンリン「「危ないだろ。怒られるのオデなんだからな!」とか。

じゅくリン「一人称「オデ」か。

ヤスリン「いいですね。しっくりくる。

 

ザンリン「授業内容は畑の荒らしかた。ほかの種族と違って生産能力がないので、日々の糧は略奪によるしかない。

カトリン「ちょうどいい農村を襲う必要があるよね。その辺の匙加減には気を付けそう。

じゅくリン「あんまり大々的にやると勇者に退治されちゃうから、程よい荒らし方をするだろうね。

ヤスリン「規模の大きい畑だとセキュリティがしっかりしてるから、小さい村の畑を荒らす。

ザンリン「学校で唯一学ぶ技術的なことは「畑の荒らし方」。これも歌詞に入れましょう。

 

カトリン「話は逸れるけどドワーフなんかは工業高校行ってそうだよね。手に職の種族だから。

じゅくリン「『ドワーフ工業高校』もあるね。

ザンリン「エリートは『ドワーフ高専』に行く。

 

 

カトリン「こうやって旋盤加工とかもするはず。

ヤスリン「就職率いいでしょうね。驚異の就職率98パーセント!

じゅくリン「パンフレットに勇者のインタビューが掲載されてるんだろうね。「僕の剣も治してもらいました!」みたいな。

 

ヤスリン「いまドワーフの話が出ましたが、他の種族のことにも言及したほうがいいんでしょうかね?

じゅくリン「そうだね。歌詞に立体感がでると思う。出すならやっぱり対極の存在であるエルフじゃないかな。

ザンリン「自分たちと最もかけ離れた種族ですからね。美しく、賢くて気高い。

カトリン「じゃあ歌詞でエルフについても言及しよう

 

ザンリン「校歌って聞きなれない単語と言い回しがはいってますよね。

カトリン「「〇〇たれ」とか、若者のことを「若人」とかね。校舎のことを「まなびや」って呼ぶのも校歌だけですね。

ヤスリン「ゴブリン高校の理念である「野蛮」と「無知」……その校歌っぽい言い方ないですかね?

ザンリン「愚劣とか…愚昧(ぐまい)…とか?

ヤスリン「「愚昧」、いいですね。聞きなれない感じが校歌っぽい。

 

その後も議論は続き…

 

『私立ゴブリン高等学校』について話し合うこと1時間…。

 

最初は存在しなかったゴブリン高等学校が徐々に浮かび上がってきました。

 

そしてさらに1時間後……

 

歌詞が完成しました!

完成した歌詞をもとに、作曲が出来る知人に曲制作を依頼。

 

ついに、『私立ゴブリン高等学校』の校歌が完成しました。

 

みんなで校歌を歌おう

ということで、私立ゴブリン高等学校 校歌が完成したので、僕が働いている会社のみんなで歌うことにしました。

 

社内チャットで誘ったときはみな一様に小首をかしげるばかりでした。

 

誰にも理解されないまま、唐突に始まった練習―

 

「サビの部分、音程ズレてる人いない?」

「はぁ? 自分じゃないんですか?」

 

「も~! 高い声の担当があたしだけだから、勝手がわかんない~~!!」

最初は困惑し、衝突を繰り返していた面々も…

 

「音のVR見てみようぜ。ほら、プロの合唱団でこれくらいの高音だから僕らの場合は……」

 

 

「逆に低い方の担当はここまでの低音じゃなくていいかもね」

徐々に凝り固まった心が解(ほぐ)れていき……

 

「お、おい。今ちょっと良いハーモニーだったんじゃね?」

 

みんなの心がひとつになっていきました。

正直、ゴブリンでみんなの心がひとつになるとは思ってなかったので笑っちゃいました。

 

架空の校歌なのに、今やメンバーの胸には「ゴブリン高等学校」で学んだ誇りと仲間意識が芽生えている……。

90分に及ぶ練習を終え、準備はバッチリです。

 

いよいよ……

 

 

 

 

 

 

 

~ ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

実際に録音した音声に、イメージイラストや写真を入れた動画です

 

いやあ、それにしても校歌って本当にいいものですね…。これはマジの話なのですが十何年ぶりにみんなで歌を歌うのって、むちゃくちゃ楽しいです。学生時代に戻ったような気持ちになりました。

 

ああ……

 

 

この校歌、楽譜も公開しますので、是非皆さんも歌ってみてくださいね。

 

 

KDDIでは、全国の学校で広く歌われている混声合唱曲を、『音のVR』アプリで配信中!

 

 

『音のVR』で合唱の素晴らしさを体験したら、ぜひ「私立ゴブリン高等学校」にも挑戦してみてくださいね!

新音楽視聴体験「音のVR」アプリのダウンロードはこちら ※2020年3月17日現在、iOSのみでの配信となります。

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