2019/09/13

「つながる」でみんなを笑顔に 通信会社だからこそできる国際貢献

アジア諸国のデジタルデバイド解消に向けて

より良い社会の実現のために、通信会社ができることってなんだろう? そのことを真剣に考え、実行に移している団体がある。KDDIグループの社会貢献活動の一翼を担う公益財団法人KDDI財団だ。

KDDI財団は、通信会社としての技術と知見を活かした支援活動を世界各地で進めている。アジアの開発途上国において各国の政府機関、大学、自治体などの現地の人たちが連携して取り組むAPT(アジア・太平洋電気通信共同体)のデジタルデバイド解消のためのプロジェクトへの参画も、そのひとつだ。

ブータンの山村に通信インフラを整備

たとえば、ヒマラヤ山脈の東端にある雷竜の国として知られるブータン王国では、2012年から2013年にかけて、標高3,000m超の3つの山村に光ファイバー/WiMAX/WiFiを利用したアクセスネットワークを構築。既存の基幹ネットワークと接続することでブロードバンドインターネット接続を実現した。

それにより、村と中央政府との間で住民データを共有できるようになったほか、診療所を病院とつないでの医療サポートを受けられるようにもなった。これまでは手書きでやり取りするしかなかった母子手帳などの医療情報も、病院側はデータで管理することが可能になった。

小中学校では、インターネットを活用したパソコン教育も可能に

導入されたばかりのパソコンに向かうブータンの子どもたち
導入されたばかりのパソコンに向かうブータンの子どもたち

導入されたばかりのパソコンで授業を受けるブータンの子どもたち。みんな笑顔で楽しそうだ。

学校では教育用テキストも整備され、4年生から8年生にセキュリティ対応などを含めたICTリテラシー教育が実施されている

ブータンのICTリテラシー教育のテキスト 左はICTリテラシー教育のテキスト。これらを通じてブータンの子どもたちはパソコンやインターネットの知識を身につけていく。右はブータンの母子手帳。通信インフラが整備されたことでデータによる管理が可能に

また、インターネットがつながった村の僧院からチベット仏教の説法が全世界に向けて動画配信されるようになるなど、仏教国ならでの活用も。これは通信環境が整っていない時代には考えられなかったことだ。

ブータンの僧院にて、説法をビデオ配信している様子 ブータンの僧院にて、説法をビデオ配信している様子

ミクロネシアの小さな島国に通信環境を構築

太平洋の南西部に浮かぶ小さな島国ナウルでは、2013年から2015年にかけて、島内の役所、学校、病院などを結ぶ高速ネットワーク網を構築。それまでは露出した銅線による不安定な通信網しか利用できなかったが、光ファイバーネットワークが利用可能になったことで、現地の人々は高速通信の利便性を享受できるようになった。

LANネットワークを構築するナウルの政府職員

こちらはナウルの政府職員がネットワークの設定作業をしている様子。

LANネットワークを構築するナウルの政府職員

通信インフラの整備だけなく、政府職員に対するICT活用の人材育成も実施。職員自らが光ファイバーケーブルの敷設作業に参加することが可能となったことで、プロジェクトが終了したあとも、職員のみで島内のネットワークの構築、運用・保守が行われている。その回線は公的機関で利用するだけでなく、一部を現地の通信系企業に提供するようになるなど、思わぬ成果も上がっている。

ナウルをはじめとするミクロネシア地域では、現在も酋長制度が残っており、外部文化の影響を好まないものの、島内の役場や公共施設とのやり取り、そして家族や住民同士のコミュニケーションツールとしての通信環境は大いによろこばれている

ネパールの山岳地域の自治体をネットワークでつなぐ

世界最高峰、エベレストを含むヒマラヤ山脈を擁するネパールでは、2018年、同国でも特に通信網の整備が遅れていたダル地区に、光ファイバーによる地域自治体網を構築した。

ネパールのカトマンズとダル地区の地図 首都カトマンズからダル地区までの距離は650kmほど
ダルの地図 ダル地区の航空地図。険しい山岳地域であることわかる

ダル地区はカトマンズから西に約650km離れた山岳地域であり、光ファイバーケーブルの敷設や資材の運搬は困難を極める。そこでこのプロジェクトでは簡易な工法を採用し、地元のボランティアでも敷設作業を行えるようにしたことで、建設・運用コストを大幅に下げることを可能にした。

各自治体などがネットワークでつながったことにより、医療、教育、観光などのICT環境の整備が進むと期待されている

ネパール・ダル地区の総合病院に導入された遠隔健診システム

まず、ダル地区の総合病院には遠隔健診システムを導入。同システムはカトマンズの総合病院にも設置され、遠隔で医療指導が行える体制が整えられた。ダル地区のような山岳地域でも、高度な医療が受けられるようになったのだ。

「自分たちもできるんだ」という意識改革

通信インフラが未整備の地域にブロードバンドが整備されることで、現地の人たちの暮らしや意識にどのような変化があったのだろうか。

アジア諸国の通信インフラ整備支援を担当するKDDI財団・国際協力部の内山洋祐は次のように語る。

KDDI財団 国際協力部 内山洋祐 KDDI財団 国際協力部 内山洋祐
安全なネットワーク構築を祈念しにブータン・タクツァン僧院にて

「通信環境が整うことによるもっとも大きな変化は、 “自分たちも情報通信を活用して何かしたい”と思うようになる意識改革です。

現地の人たちの意識が変わることで、次になにをすると良いのかを一緒に考えられるようになり、自発的なアイデアも生まれてきます。たとえば、ビデオ会議で利用してみよう、教育の現場で使ってみよう、医療で遠隔健診に活用してみよう、といったように。

そのアイデアを実現するプロセスを習得できるように、私たちはすべてのプロジェクトでICT活用事例を必ず組み込むようにしています」

衛星アンテナを使った高速インターネット網を構築したミクロネシア現地の人々と内山洋祐 衛星アンテナを使った高速インターネット網を構築したミクロネシア現地の人々と内山洋祐

現実の実情に即して、持続可能な支援を

なにをすべきかをともに考えながら、現地の人たちが自分たちで通信を活用できるように、必要な支援をする。これからの国際貢献では、その仕組みづくりこそが大切だと内山は言う。

「世界をあげて“持続可能な開発目標”であるSDGs(Sustainable Development Goals)に取り組むなか、私たちとしても現地に寄り添い、長期的な視野で支援を続けていくことが重要だと考えています。

たとえば、光ファイバーケーブルの敷設工事はコストがかかり、日本と同じやり方では現地の人たちに大きな負担となりかねません。

そこで、ブータン、ナウル、ネパールなどでは、KDDIが培ってきた海底用ケーブルの技術を応用しています。管路を利用することなく頑丈なケーブルを地面に埋めたり、道路に直接敷いたりする簡易な手法で、安価に回線を引くことを可能にしました。

ブータンにおける光ファイバーケーブル敷設工事の様子 ブータンでの工事の様子。ロール状に巻かれているのが光ファイバーケーブル
ブータンにおける光ファイバーケーブル敷設工事の様子 スコップやツルハシで路上脇の土を掘り、光ファイバーケーブルを地面に埋めていく
ネパール・ダル地区における光ファイバーケーブルの敷設工事の様子 こちらはネパール。光ファイバーケーブルの敷設工事は大勢の地元のボランティアの協力によって行われた
ネパール・ダル地区における光ファイバーケーブルを山中に敷設する様子 起伏の激しいネパールの山間部では、土を掘らず、地面に直接ケーブルを敷いていくことも

険しい山中に人力でケーブルを敷設するのは苦労もありますが、このやり方はコストの面でもスピードの面でも現地の実情を考慮したものです。

このように、日本の技術をただ現地に持ち込むのではなく、現地の実情を踏まえて最適なかたちにカスタマイズしたうえで、現地の人たちが自力で通信を活用できるようにすることが、持続可能な支援を考えるうえで大切になってきます」

内山はブータン、ナウル、ネパールでのプロジェクトに続き、現在はモンゴルの辺境地域において、新たな通信インフラの整備を進めている。モンゴル北部の山岳地帯は氷点下50℃まで下がることもある極寒の地であり、光ファイバーケーブルや通信機器がその過酷な環境に耐えられるかどうかといった課題もあるという。

世界中の人々が通信の利便性を享受できるようにするために、そして誰もが充実した医療や教育を受けられるようにするために。KDDIはこれからも通信のチカラを活かし、長期的な視野で持続可能な国際支援に取り組んでいく。

文:榎本一生

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。