2015/01/28

受信最大220Mbpsの超高速データ通信が始まる 2015年にWiMAX 2+が起こす『革命』

「インターネットのさまざまなストレスからユーザーを解放する"ネットライフ革命"を起こしたい」。インパクトのあるこの発言の主は、KDDIグループでWiMAXサービスを提供するUQコミュニケーションズの野坂章雄社長だ。UQコミュニケーションズはこの春から、220Mbpsという超高速のモバイルブロードバンドサービスを開始する。その発表会で、冒頭の革命発言があったというわけだ。

2つの方式で受信最大220Mbpsを実現

WiMAX 2+は、2013年10月に受信最大110Mbpsのサービスとして提供が始まった。2014年度末までに2万2000局あるWiMAX基地局のほぼすべてをWiMAX 2+に対応させる計画だ。すでに110Mbpsと高速なWiMAX 2+だが、さらにUQコミュニケーションズは受信の最大速度を2倍の220Mbpsへと引き上げる。これを、ヤバイほど速い「ヤ倍速」と名づけた。

220Mbps対応のヤバイほど速い「ヤ倍速」対応ルーター2機種の新製品を発表したUQコミュニケーションズの野坂章雄社長

WiMAXの高速化を理解するために、WiMAXサービスがどのような周波数帯域を使って提供されているかをおさらいしておこう。もともと、UQコミュニケーションズは30MHz幅の帯域を使って、受信最大40MbpsのWiMAXサービスを提供していた。これに、新しく20MHz幅の帯域が加わり、新しい20MHz幅で110MbpsのWiMAX 2+サービスを開始したのが2013年10月のことだ。

2015年の「ヤ倍速」では、2つの方式を使って220Mbpsの超高速サービスを実現する。1つは、複数の周波数帯域を組み合わせて使う「キャリアアグリゲーション」方式、もう1つは「4×4 MIMO(フォーバイフォーマイモ)」と呼ぶ新しい技術を取り入れて周波数利用効率を高める方式だ。

キャリアアグリゲーションは、すでにKDDIのau 4G LTEでも採用されている技術だ。UQコミュニケーションズでは、従来WiMAXに使用していた30MHz幅のうち20MHz幅をWiMAX 2+に転用し、従来のWiMAX 2+用の20MHz幅とキャリアアグリゲーションすることで、220Mbpsのサービスを実現する。「高速道路の幅を広げるようなイメージ」(野坂社長)だ。

20MHz帯を2つ束ねたキャリアアグリゲーションをするには、既存のWiMAXの周波数から20MHzをWiMAX 2+に転用しなければならない。実施には多くの条件があるため、キャリアアグリゲーション方式の220Mbps対応は、全国を順次エリア化していくことになる。具体的には、2015年2月12日に栃木県真岡市周辺で最初のエリア化を実施。その後、順次エリアを拡大していく。

もう1つの「4×4 MIMO」は、送受信ともに4本のアンテナを使う新しい技術。これにより同じ周波数帯域で、従来のWiMAX 2+の2倍のデータ通信速度を実現できる。これまで110Mbpsのサービスを提供していた20MHz幅で、220Mbpsのサービスが実現できるようになる。「UQコミュニケーションズの技術力と、さまざまなベンダーとの協力により、4×4 MIMOを世界で初めて商用化できた」(野坂社長)。こちらは、高速道路に高性能のスポーツカーを走らせるようなイメージだ。

4×4 MIMO方式の220Mbps対応の布石はすでに打たれている。野坂社長は「WiMAX 2+の基地局は4本アンテナで設置してきた。端末が発売される3月には全国で一斉にサービスが使える」と語る。

今後、UQコミュニケーションズでは、キャリアアグリゲーションと4×4 MIMOを組み合わせた440Mbpsのサービスを2016年以降に提供。さらに、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年より前に1Gbpsのサービスを実現する計画だ。

「ヤ倍速」に対応した2種類のモバイルルーターが登場

WiMAX 2+とauの4G LTEに対応したモバイルルーター「Speed Wi-Fi NEXT W01」

UQコミュニケーションズは、220Mbps対応の「ヤ倍速」対応ルーター「Speed Wi-Fi NEXT」として、2機種の新製品を発表した。ヤ倍速の2種類の方式それぞれに対応する製品である。1つがキャリアアグリゲーション方式に対応する「Speed Wi-Fi NEXT W01」、もう1つが4×4 MIMO方式に対応する「Speed Wi-Fi NEXT WX01」だ。

Speed Wi-Fi NEXT W01は、WiMAX 2+とauの4G LTEに対応したモバイルルーター。4G LTEに対応することで、WiMAX 2+がカバーしていないエリアでも高速データ通信が可能だ。タッチパネルの大型ディスプレイを採用し、モバイルルーター初心者でも簡単に操作できる。220Mbpsのヤ倍速には、3月末を予定しているファームウエアのバージョンアップで対応する。ファーウェイ・ジャパン製で、1月16日に予約受付を開始、1月30日に発売予定である。

4×4 MIMO方式に対応する「Speed Wi-Fi NEXT WX01」

110MbpsのWiMAX 2+を使えるホームルーター「URoad-Home2+」

Speed Wi-Fi NEXT WX01は、4×4 MIMOに対応したWiMAX 2+と既存のWiMAX (ハイパワー)で通信が可能な、NECプラットフォームズ製のモバイルルーターだ。3月上旬に予定されている発売当初から、220Mbpsの超高速データ通信を全国で利用できる。UQコミュニケーションズのモバイルルーターとして、初めてBluetoothテザリングに対応した。WX01はau 4G LTEには対応しないので、広いエリアで使いたい人はW01を、とにかく高速通信をしたい人はWX01を選ぶとよさそうだ。

ヤ倍速には対応しないものの、110MbpsのWiMAX 2+を使えるホームルーター「URoad-Home2+」(シンセイコーポレーション製)も発表した。こちらは自宅に設置して固定のブロードバンド回線の代わりに使うことを想定した製品だ。無線LANで最大16台を接続可能な上、有線LANも2ポート備え、家庭内の多くのネットワーク機器をWiMAX 2+でインターネットに接続できる。

超高速なWiMAX 2+が使い放題にできる新プラン

UQコミュニケーションズが提案する"ネットライフ革命"のもう1つの柱が料金だ。「UQ Flat ツープラス ギガ放題」と名付けたプランで、月額4,380円の料金でデータ通信量の月間上限を撤廃した。これまでWiMAX 2+は契約から2年間は使い放題だったが、2年を超えると7GBの制限があった。この制約を取り払い、220Mbpsの新サービスでも使い放題にできるのが新プランである。

「ガチャピン」と「ムック」も発表会に登場

一方、月額3,696円で、7GBの制限がある従来型の「UQ Flat ツープラス」も並行して提供する。ギガ放題は、契約当初から3カ月間、UQ Flat ツープラスと同じ月額3,696円で使える「体感期間」を設けており、上限のないデータ通信の世界を体感できる。その後、7GBで十分という人は、UQ Flat ツープラスに変更も可能というわけ。さらに「翌月からのプラン変更は何度でも可能なので、来月は大量に使いそうだという場合にだけギガ放題に変更するといった使い方もできる」(野坂社長)。

Speed Wi-Fi NEXT W01でau 4G LTEを利用する場合は、LTEを利用した月ごとに月額1,005円のLTEオプションが必要になる。使わなかった月の料金はかからない。2015年3月末までにLTE対応のWiMAX 2+端末を契約すると、5月末までの期間のLTEオプションが無料になるキャンペーンも実施する。

ギガ放題にはもう1つの活用法がある。220Mbpsには対応しないものの、ホームルーター「URoad-Home2+」をギガ放題で使えば、110Mbpsの高速データ通信を家庭内の多くの機器から使い放題にできるというわけ。配線や手続き、引っ越しなどで手間がかかる光ファイバーのブロードバンド回線の代わりに、手軽に使えて高速なネット接続回線としての利用も推進したい考えだ。

サービス開始時点で国内最高速となる220Mbpsのサービスと対応する新端末、月間上限のない料金プラン、光ファイバーの代わりにもなる利便性――。これらが、ネットライフに革命を起こす。それが、冒頭の野坂社長の発言の真意だ。UQコミュニケーションズでは「ギガヤバ革命」をキャッチフレーズに、ネット接続のストレスからユーザーを解放することを目指していく。

文:岩元直久 撮影:斉藤美春

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