2015/09/17
カトキハジメ氏デザインのT&Sオリジナル・スマホケース 『RAILcase/ts[Prod.Ka]』プロジェクト、スタート
「機動戦士ガンダム」シリーズのメカ・デザイナーと知られるカトキハジメ氏が、スマホのケースをデザインしたら、一体どんなものができるんだろう?
実は当サイト「TIME & SPACE」は、おかげさまで、立ち上げから今年で丁度15周年。そこで、これまでとは違う、「ものづくり」というアプローチで何かできないか、可能性を探ってきた。
2000年に産声を上げた『TIME & SPACE』創刊号。当時はウェブではなく、冊子での展開でした
様々なアイデアのなかで、最終的に編集部員が「実現させたい!」と思ったのが、カトキハジメ氏とのコラボレーションによる、オリジナル・スマホケースの制作だ。
ガンダムとは、ご存知のとおり、1979年に初代『機動戦士ガンダム』が放映されて以来、現在まで長く、広くファンに愛されている作品で、T&S編集部員ももれなく「どの時代かのガンダム」好きである。
『機動戦士ガンダム』に登場したモビルスーツは、それまでのアニメに登場してきた"正義のスーパーロボット"から、リアリティを感じさせる"未来のロボット兵器"となり、子どもたちを熱狂させたものだ。
以来、アニメ界には次々と新しいデザイナーが現れ、"ファースト"からさらに進化したロボットのデザインで我々をワクワクさせ続けている。
メカ・デザイナー、カトキハジメ氏はその頂点にいる一人だ。
さて、KDDIは、プレオーダーでユーザーのオリジナルスマホケースを3Dプリンターで制作する「3D PRINT LAB.」というサービスをDMM.comと始めている。
そこで「TIME & SPACE」では、3Dプリンターを使ったオリジナルのスマホケースのデザインをカトキ氏にお願いし、快諾してもらうことができた。
自身のデザインと、その造形に対して非常に厳しい目を持つカトキハジメ氏と、3Dプリンターでその成形を担当するDMM.com、そしてKDDIが運営する「TIME & SPACE」のトリプルコラボレーションによって、一体、どんなスマホケースができるのか......? T&Sでは、オリジナルスマホケースが完成するまで、これから数回に分けてその課程をお伝えしていく。
題して、カトキハジメデザイン「RAILcase/ts[Prod.Ka]」プロジェクト。
第1回は、カトキハジメ氏のメカ・デザイナーとしての足跡を紹介していこう。
ガンダムにおけるデザインと、リ・デザイン
機動戦士ガンダム UC特製収納BOX「ガンダムUC GREAT WORKS BOX III」
完全設定資料集 機動戦士ガンダムUC GREAT WORKS BOXⅢ episode 7
近年のカトキ氏がメカ・デザイナーとして関わった作品のなかでも「機動戦士ガンダムUC」はその代表作。そのストーリー、作画、演出、そしてメカ・デザインに至るまで、今やオトナとなったガンダムファンを唸らせた。カトキ氏は登場するすべてのMSのデザインを手掛けている。こちらはその設定資料集BOXの第3弾で、ボックスアートはカトキ氏による描き下ろしだ。発売・販売元:バンダイビジュアル
©創通・サンライズ
これまで、カトキ氏がメカ・デザイナーとしてガンダムのアニメシリーズに参加した主な作品は、『機動戦士ガンダムZZ』『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』『機動戦士ガンダムW』『機動戦士ガンダム 第08小隊』、そして『機動戦士ガンダムUC』などなど。
どれも評価の高い作品で、いちばん好きなモビルスーツとしてカトキ氏がデザインしたものを挙げる人も多い。
「ガンダムGP03デンドロビウム」
カトキ氏によるデザインのなかでも代表的なもののひとつ。巨大なウェポンコンテナの中にガンダム「ステイメン」が格納されており、従って全長は140mにもなる、とんでもなく巨大な兵器。デンドロビウムの登場は、ファンの度胆を抜いた
©創通・サンライズ
また、カトキ氏は現在発売されているガンダムのプラモデルシリーズにおいて、数多くのデザインを手掛けている。
その特徴は、洗練されたプロポーションと、実際に兵器として存在するとしたら、きっとこういった仕様になっているだろうと思わせる、精緻な細部までの作り込みにある。ガンプラの進化の歴史と、カトキ氏のデザインの歴史を重ねて語るファンも多いほど、ガンプラにカトキ・デザインは不可欠な存在だ。
また、自身が作中でデザインしたものだけでなく、ほかのモビルスーツについても「リ・デザイン」することで、新しい息吹を吹き込んできた。皆が持っている作中のイメージはそのままに、現代風に解釈し直したリ・デザインは、過去の作品のガンプラが現在もリニューアルし、発売され、人気を保ち続けている理由となっている。
一方で、「Ver.Ka」(バージョン・ケーエー)と呼ばれるシリーズでは、カトキ氏による大胆な解釈によるモビルスーツのリ・デザインがなされている。「RX-78-2」、いわゆるファーストガンダムについては、これまでいくつものスケールやフィギュアとして発売されており、カトキ氏の代表作のひとつだ。
「GUNDAM FIX FIGURATION 1/35 RX-78-2 ガンダム [Ver.Ka]」
フィギュアブランド「魂ネイションズ」のイベント会場で展示された試作モデル。全長50cmと巨大なフィギュアだ。各部ハッチの開閉まで再現している。「カトキ立ち」と言われる立ち姿が美しい
©創通・サンライズ
いずれにせよ、カトキ氏がこれまで長い期間にわたってガンプラにおけるデザインの中心的人物として活躍しているのは、アニメ作品内だけではなく、立体物になったときにも美しく、破綻しないデザインであることが大きい。
「TIME & SPACE」が、カトキ氏とのオリジナル・スマホケースのコラボレーションを実現したかった理由は、そこにある。
「ガンダム フィックス ボックス」
1999年に発売されたカトキ氏による、実写とCGイラストを組み合わせたガンダム世界のイラスト集『GUNDAM FIX』。2002年にフィギュア、追加イラスト画集、解説書などを加えて限定品として発売された。ファン必見のコレクターズアイテムだ
©創通・サンライズ
ガンダム以外のカトキ作品
ガンダム作品での活躍の印象が強いカトキ氏だが、ガンダム以外でも、実は様々な作品にデザイナーとして参加している。
有名なところでは、『電脳戦機バーチャロン』(SEGA)シリーズや、『スーパーロボット大戦』(バンダイナムコエンターテインメント)シリーズだろう。
「電脳戦機バーチャロン」
1995年に登場したバーチャロンは、当時社会現象になるほど人気を博したロボットによる対戦型アクションゲーム。登場するメカはすべてカトキ氏が手掛けている
©SEGA CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME
©SEGA, 1998, 1999 CHARACTERS ©SEGA/AUTOMUSS CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME
©SEGA, 2001 CHARACTERS ©AUTOMUSS CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME
「第2次スーパーロボット大戦OG」(バンダイナムコエンターテインメント/PlayStation®3)より
ロボットアニメファンにはお馴染みの超ロングヒットタイトル"スパロボ"シリーズでも、オリジナルとして登場する機体のデザインの多くをカトキ氏が手掛けた。「エグゼクスバイン」(左)と「ガリルナガン」(右)
©SRWOG PROJECT
また、その活動はアニメやゲームの世界にとどまらない。2002年にはエレコムから「M.A.P.P.」シリーズとして、カトキハジメデザインのマウスも発売されて話題となった。
「M.A.P.P.シリーズマウス」(エレコム)
2002年にデザイナーズマウスとしてエレコムから発売されたマウス。同時に士郎正宗氏によるデザインマウスも発売された。※現在は発売終了
カトキデザインのスマホケースは?
さて、いよいよ本題のカトキハジメ・デザインのスマホケース「RAILcase/ts[Prod.Ka]」だが、現在は試作品の製作段階にある。
今回は、ポリエステルで制作された試作品のひとつを紹介しよう。
こちらが「RAILcase/ts[Prod.Ka]」の背面からのショット。中央縦になにやら特徴的なデザインがなされているが、果たして!?
現状では、どの機種のスマホ用に開発されているのか、商品化の有無などの詳細はまだ決定していない。デザインのコンセプトなどを含め、今後この連載でお伝えしてく予定だ。次回の続報まで、しばしお待ちいただきたい。
文:T&S編集部
撮影:稲田 平