TS 文化部

2017/01/31

【紳士のSNS講座】 第19回地方の超レアな食材を取り寄せた鍋をお自慢する

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お寒うございます。今回は「鍋」のお自慢。すっきりとシンプルにいきましょう!

「オレは今夜、超うまい鍋を食った」。
ただそれだけ。

味とか香りとか弾力とか新鮮さとかについて、思う存分、無邪気に触れていきます。というのも、それらは単なるフックだから。この投稿のメインテーマは「鍋の具材の入手経路」。やすやすと手に入れることができるものではないところがキモなのですが、それは「お値段」という意味ではありません。1人30,000円の鍋のお自慢って、なんだかイヤミじゃないですか。いくらお金があっても、簡単には食せない。取り寄せられない。「そんなファンタジックな鍋を食べているオレ」「しかもコンスタントに!」というお自慢です。

では作例です。「なぜクエが食せるか」の背後に仄めかされる、「オレの意外な交友録お自慢」にも注意しながらを見ていきましょう。

■ポイント※①ガチなグルメリポートゆえ、美味しそう描写は懇切丁寧に。

SNS上では端的に本題を語るのが安全です。不要なことをダラダラ書いていると読み飛ばされる恐れがある。でも今回のようなグルメネタの場合は、読む人に「美味しそう」と思わせてナンボ。みんなの「いいなあ」「食べたいなあ」感の上にお自慢はそそり立つわけです。

なので、ちょっと長くなっても、「いかにも美味しそう」はきちんと書く。特に描写に気をつけて。「冬=鍋=染み渡る」的な人間の五感に訴えかけましょう。ごちゃごちゃしたウンチクは後でOK。前段のパートでは、素直に鍋の美味しさを表現して、全体のフックにします。

■ポイント※②「こんな美味しいものを食べられるオレ」を爽やかに示唆。

世間に向けて、まずきちんと丁寧に「岩場さん」と紹介しておきながら、言い直す。「普段はゲンさんって呼んでるんだよ」っていう2人の関係性をサラリと見せつけています。

東京をベースにフツーに働いてると「漁師さんと知り合い」だけで立派なお自慢。さらに徳が高いのは、仕事がらみではなく、漁港の居酒屋で意気投合した点。なぜ漁師さんが彼のことを気に入ったのかは文面からだけではわかりませんが、ともかく先方からのラブコール。これはある種の「モテお自慢」にもなります。

■ポイント※③衝撃の結末と、読者の未来に希望を与えるエンディング

クエ食いたいですよね。どこから取り寄せられるのか、いくらで買えるのか。読者の欲求は「クエに合う利尻昆布」「ゲンさんお手製ポン酢、しかも地元の名産・ザボン入り」でさらに高められます。そして次の瞬間に、読み手は奈落に落とされます。

そう「自分たちでは買えない」という事実。
「ゲンさんと知り合いじゃなければ食えない」わけです。この瞬間が投稿者最大のカタルシスでしょう。お取り寄せカルチャー華やかなりし現代において、情報はあっても手も足も出ない。それを超お自慢されている。ここで終わると、モヤモヤだけが残ります。

そして投稿者は最後に読者を救済するのです。次回のクエの会の予告です。もしかしたら「クエトレタ」というゲンさんからのメールありきで、このネタを投稿したのかもしれません。そりゃみんな「食べたいですー」は、言いますよね。大人として。で、レスは花盛り間違いなし!

なお、「3回? 4回? 目のクエ鍋」というところも曲者。こんな大イベントなのに、回数に対して鷹揚な姿勢という高度なお自慢も潜んでいるのです。

絵:Shu-Thang Grafix

講師:武田篤典

何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。

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