2016/08/22

『auケータイ図鑑』で石野・石川・法林が携帯電話30年の歴史を振り返る 第3回

ジャーナリストが語る、ケータイ新時代

ケータイ・スマートフォンにまつわる情報サイト「ケータイWatch」。こちらのサイトで、T&Sのコンテンツ「おもいでタイムライン」「auケータイ図鑑」について紹介していただきました。

モバイル業界の最前線でジャーナリストとして活躍されている石野純也氏、石川温氏、法林岳之氏による白熱のケータイトークをお届けします。

<第2回(「ケータイWatch」連載第3回)はこちら>

最終回となる今回(「ケータイWatch」連載第4回)のテーマは、いまや現代人にとってなくてはならない存在となった、「スマホ」の時代です。3氏にとって特に思い入れのある端末についても熱く語ってもらっています。さっそくタイムスリップしてみましょう!


「auケータイ図鑑」で石野・石川・法林が携帯電話30年の歴史を振り返る

■第4回:そしてスマートフォンの時代へ

KDDIのデジタルマガジン「TIME & SPACE」に先日オープンした「auケータイ図鑑」。約30年に及ぶ携帯電話の歴史を振り返り、KDDIの前身である日本移動通信(IDO)やDDI-セルラー、ツーカー時代の携帯電話から2015年のスマートフォンまで網羅したデジタル図鑑だ。同サイトは、先行して3月末に公開された「おもいでタイムライン」ともシンクロしており、時代に沿って音楽やファッションも懐かしむことができる。

そんな時代を異なる世代の3人、ケータイWatchでおなじみの石野純也氏(30代)、石川温氏(40代)、法林岳之氏(50代)に当時を振り返ってもらう。第4回となる最後は2008~2010年と2011~2015年、つまり昨年まで。いよいよ時代はフィーチャーフォンからスマートフォンの時代へ。今や当たり前となったiPhone、Androidスマホも初期はさまざまな試行錯誤が。さらに約30年の携帯電話で最も印象に残った端末とは? 聞き手はケータイWatch編集長の湯野康隆。

2008年~2010年――ゆるやかに、スマホの時代に

2008年(平成20年)は米国の大手証券会社リーマン・ブラザーズの破たんによる世界の株価への悪影響が「リーマン・ショック」として記憶され今に至るも尾を引くことに。

その米国では先日広島へ訪問したオバマ大統領が、まさに大統領選に勝利した年でもある。そのときの代表的なキャッチフレーズが「Yes We Can」。さらに翌年も米国の話題、世界的な歌手・ダンサーであるマイケル・ジャクソンが亡くなる。日本では「草食男子」が流行語に。そして「山ガール」も実際に広まった。このあたりは今も使われる言葉だろう。さらに2010年のNHK大河・福山雅治さんの「坂本龍馬」ブームもあった。

携帯電話業界を見てみよう。2008年には新規参入組のイー・モバイルが音声通話サービスを開始。2009年にはUQ WiMAXもサービスイン。ソフトバンクからは2008年にiPhone 3G、2009年に3GSが発売に。Twitterの日本語化も2008年だ。新しい予感がする出来事が続く。

ドコモはその2008年にGoogleと提携。いち早く2009年に国内初のAndroidスマートフォンHT-03Aを発売している。翌年には初代Xperia SO-01Bもデビューした。Xi(LTE)の正式サービスも2010年。ちなみに、今でこそドコモは全国1社体制だが、2008年までは地域8社に分かれていた。

auはこの時点ではLTEに対応していないが、現在も使われている「WIN HIGH SPEED」を2010年に始めている。一方でPHSのウィルコムは経営が行き詰まり事業再生へ。2010年に会社更生法の適用となる。

ハイビジョン焼肉の衝撃!? Android、iPhoneの登場

法林:2008年はまずリバーシブルケータイ「W56T」かな。"サバ折り"って呼んでいた(笑)。

石野:端末の基本ソフトにKCP+を採用していた時期ですね。auのケータイがモッサリしはじめる。

石川:さすがにそのへんの話は「auケータイ図鑑」では表現できないよね(苦笑)。

石野:ユーザー向けの話とも違いますけどね。この頃はドコモもLinuxやSymbianで似たようなことをしていましたし。

石川:要は携帯電話の開発費がかさんできたので、基本ソフトを共通化しようとキャリアはしていたんだよね。それで使っていて苦しさを感じることがあったんだけど、考えてみればAndroidの先駆けみたいものかも。

法林:構造的には今のスマホと同じように共通プラットフォームを作ろうとしていたんだよね。機能やアプリの主要なものも共通化しようと。メールソフトの共通化とかね。それでVGA(ワイドVGA)の端末では三洋がやって、QVGA(ワイドQVGA)の端末ではソニーと東芝がやっていたんだよね。いろいろ言われてたけど僕は「W54SA」を使ってたなぁ。

――京セラは違いましたよね。

法林:そう、京セラはこの頃採用しなかった。だけど今は採用している。

石野:京セラは賢いですね(笑)。

石川:この年は「フルチェンケータイ re」もありましたよね。

法林:これは凄かった。

石野:これも今につながってますよ。

法林:スマホの背面カバーを変えるようなもの。

石野:ただ「Sportio」のように企画ものに走り過ぎている感じもしません?

――Sportio、腕に巻くホルダーと一緒に紹介されてましたね。

石野:発想は面白いんだけど、まだベースができていないから使い勝手が追いついていない感じがあったんですよ。

石川:小型の「Walkman Phone Xmini」あたりもそうかな。ドコモなら「premini」とかね。

石野:Xminiはカーソルキーを物理キーにすればもっと良かったと思う。ただ、この端末、使わなくなっても通電さえしていれば緊急地震速報を受信できるんですよ。だから今でもストラップでぶら下げて地震速報端末として使う手がある(笑)。

石川:「W64S」も実は凄い。「グローバルパスポートGSM」に対応してきた。持ってたもの。

法林:CDMAをどうするか、とauが考え始める時期なんだよね。

石川:さらにMNPも盛り上がっているからauも他社も機種数が増えていく。

法林:「W62SH」も使ってたなぁ。

石川:私も使ってましたね。地味に使ってた。

石野:「URBANO」もありましたね。

――この時代のURBANOはかなり大人な感じがしますね。この頃からスマ―トフォンが出てきます。iPhoneの日本発売がこの年。

石川:まだまだスマートフォンなんか売れないよ、と言っていた時期(笑)。

石野:だけど一部ではあったけど、だんだんとスマートフォンがよく取り上げられるようになってきていましたね。

石川:と言ってもまだ一般には浸透してないじゃないですか。ウチらは評価高かったけど。

石野:業界的にはね。

法林:2009年になると型番が変わるんだよね。「Cyber-shotケータイ S001」みたいに。

石野:この年はまずiidaの「G9」でしょう。iida、いつの間にか消えてしまったけど・・・・・・(苦笑)。

石川:それと「E30HT」ですよ。

――法人向けじゃないですか。

石野:近い端末がイー・モバイルからも出ていましたね。

法林:E30HTがあったから、HTCと仲良く付き合えたんだよ。

石野:一方で「ベルトのついたケータイ NS01」もあるんですよね。迷走してませんか?(笑)。

石川:「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」はどうよ。これはゴツくなかった?

石野:ゴツかったけどこれは良かったと思いますよ。インパクトありましたし。

法林:HDカメラを初めて搭載して、焼肉がすごく美味しそうに撮れたんだよ。"ハイビジョン焼肉"って言っていた。

一同:(笑)。

――私も子どもを撮りまくった記憶がありますね。

石川:「biblio」もあった。電子書籍ブームが来るぞ来るぞって言われてて。

石野:Kindleの話とかあったから。

石川:そうそう「Kindle上陸か!?」みたいな話があって(端末のKindleは米国で2007年に発売するも日本での発売は2012年まで待つことになる)。そういえば「SOLAR PHONE SH002」も売れてたね。

石野:何社かから出ましたよね。

法林:auが最初だっけ?

――そうですね。その後、ソフトバンク(936SH)とドコモ(SH-08A)でも販売されています。

石野:「PLY」もありましたね。

石川:あったなぁ。

――ミルフィーユみたいなデザインの端末ですね。

法林:iidaの端末は名前が分かりにくかったかな。

石野:そうですね。それにPLYはちょっとプラスチック感が出ていたんですよ。あ、同じiidaの「PRISMOID」は買った覚えがある。この時期になると、これくらいの抑えめのスペックでもいいと思えたんですよ。

――iida以外の端末で他に注目は?

石野:「AQUOS SHOT SH003」はどうです? カメラブランドが無かったシャープが作っているんですよ。

法林:「BRAVIA Phone U1」もあったよね。

石野:ブランドケータイがちょっとマンネリ化してきた時期でもありますけどね。

――2010年になると、まず「mamorino」ですかね。3まで出ていますし。

石野:こういう光る1台が必ずあるんですよね。

法林:デザインは今でも格好いい端末はあるよ。「lotta」とか。ただ時代がスマートフォンに興味が移りはじめてるんだよね。

石野:そうですよね。だからフィーチャーフォンは記憶に残らなくなってくる。

――auに限らないですけど、デジタルフォトフレーム(PHOTO-U SP01)も注目された時期です。端末は無料や安く提供していましたが、月額課金はかかるという。

石川:auは後でしたけどね。

石野:ソフトバンクが先に始めたのかな。

法林:だけどこの時期はこれ、au初のAndroid。

石川:出た! 「IS01」(シャープ)!

石野:この時点ではauは「スマートフォンはまだ早い」というスタンスですね。

石川:iPhoneがバンバン売れ始めている時期だけどね。

法林:「iPhone 3GS」も出たし。だけど、IS01を出したことがその後のAndroidのスマートフォンにとって大切だったんだよ。AndroidでできることをまずIS01に盛り込めたから。

石野:もうこの頃になるとフィーチャーフォンが行き詰っている感がありません?

法林:そうだね。ただ、だからといって、いきなりユーザーが「IS03」みたいなスマホに移れるかというと、そういうわけでもなかった。だから手堅いフィーチャーフォンは必要だった。「G'zOne TYPE-X」みたいなフィーチャーフォンもあったし。ちなみにうちではまだTYPE-Xが現役。

石川:この頃キーを変えられるフィーチャーフォンありませんでした?

――「beskey」ですね。

石川:これ凄いでしょう。

石野:これもある意味フィーチャーフォンの行き着く先では。

石川:ソフトバンクがタッチパネルで盛り上がっていて、テンキーも使いやすいんだ、と出てきたんだよね。

石野:だけどAndroidのスマートフォンであるIS03は出遅れ感はあったものの、おサイフケータイも搭載していましたし。

法林:日本向け機能への対応ができたんだよね。

石野:ワンセグもあったから災害時にも活躍しましたし、「やるじゃん日本仕様!」なんて思うときもありましたね。当時はドコモから初代「GALAXY S」が出ていて、グローバル仕様のGALAXYか日本仕様のIS03が良いのか、という比較が多かった。

石川:バッテリーはもたなかったけどね。

石野:そうですけど、まだiPhone、GALAXY、IS03という3機種くらしか選択肢が無い時代ですからね。

石川:そういえば、たしか湯野さんが「SIRIUS α IS06」を使ってませんでした?

――使ってました。あの時代のAndroid端末としては、よくできていましたね。

法林:もうフィーチャーフォンが完成形になっている時期だしスマートフォンを選んでたよね。

2011年~2015年――アプリケーション革命

2011年(平成23年)は日本にとって大変な困難の時期だ。だからこそだろう、毎年漢検が発表している"今年の漢字"は「絆」だった。

ちなみに流行語大賞には「スマホ」がランクイン。女子ワールドカップではなでしこジャパンが優勝。2013年には「じぇじぇじぇ」の「あまちゃん」、「倍返しだ!」の『半沢直樹』とテレビドラマも流行語を生みだし、ゆるキャラも大活躍。ふなっしー、くまモンは今も頑張っている。

そういえば2013年には三浦雄一郎さんがなんと"80歳"にしてエベレスト登頂を成し遂げている。さらにもう一人挑戦していたのがタレントのなすびさん。この年あと一歩のところで断念。その後も挑戦を続け先日見事登頂を果たした。

なお、2020年東京オリンピックの開催が決定したのも2013年。

携帯電話関連では2011年に「LINE」がサービスイン。2012年にはauも「iPhone 5」に合わせてLTEを開始した。アプリやお得な割引のある「auスマートパス」、固定通信とのセット割である「auスマートバリュー」が始まったのもこの年。今では他社が追随し当たり前のサービスになっている。

ソフトバンクは2012年に900MHz帯でもサービスを始め、「プラチナバンド」という呼び名で知られることに。翌2013年にはウィルコムが子会社になり最終的にワイモバイルとなる。米国スプリントの買収もこの年。

ドコモは2013年に遅ればせながら「iPhone 5s/5c」を発売。翌2014年にはいち早くVoLTEを開始。au、ソフトバンクも追随した。

さらに広く見るとSIMロックフリーの義務化、MVNOへ多くの事業者が参入し格安スマホと格安SIMの組み合わせが広まったのもこの時期。今、私たちは携帯電話業界の構造自体が大きく変化する時代を歩んでいるのだ。

スマホ初期の苦しい時期も、防水防塵Windows Phoneの凄さ

石川:2011年になると・・・・・・出た! auのiPhone。

石野:「iPhone 4s」ね。

法林:その頃、石川君とも話していたけど、iPhoneがauからも出るよね、というのは分かっていたよね。

石川:うん。ベライゾン版が出てましたからね。

法林:そう、前年にCDMA対応のiPhoneが出たから。

石川:あとauが周波数の入れ替えをしていた。

法林:上りと下りのね。さらにCメールの仕様が変わったから、もうカウントダウンに入ったのかな、って勝手に思っていて、やっぱり出た。

石野:auはiPhone発売でまた元気になってきた印象がありますよね。

法林:そう、この年ははじめに「REGZA Phone IS04」と「IS05」が出て。REGZA Phoneはドコモからも出ていたんだけど、結構いろいろあってね・・・・・・。

石川:この時ってもう富士通傘下でしたっけ?

法林:いや、まだ東芝(10月に東芝の携帯電話事業が富士通傘下になる)。

石野:その後の「Xperia acro IS11S」は持ってたなぁ。ドコモがXperiaを先に出していて、au待望でしたよね。

石川:まだ動作が重かったよねぇ。

石野:だけど当時の端末のなかではサクサクのほうでしたよ。

法林:あとは4月にWiMAXの「HTC EVO WiMAX ISW11HT」が出ている。

石野:KDDIの田中社長が積極的に売ろうとしていて本領発揮の時期ですよ。グローバルブランドの機種も取り入れはじめた。そして「Windows Phone IS12T」が出る。

法林:これは凄いよ。この当時にWindows Phoneで防水防塵だぜ。

石野:そうなんですよ、今は無いですよね。「VAIO Phone Biz」(2016年4月発売)ですら防水ではないし。カラーバリエーションも「Lumia」より先に出していますし。

法林:今考えると本当に凄いんだよ。

石川:auは目を付けるのが早いんですよ。

法林:先見の明がある。

――今でも開発を続けてくれたらよかったのに・・・・・・。

石野:諦めないでほしい。

法林:あとはタイルUIの「INFOBAR A01」も出たね。

石野:この頃は毎月のようにスマートフォン買ってましたよ。

法林:横スライドのQWERTYキーを搭載した「REGZA Phone IS11T」もやったし、モトローラの「PHOTON ISW11M」も出た。

石川:「ARROWS Z ISW11F」・・・・・・。

法林:のちにいろいろ・・・・・・。

石川:WiMAX搭載していて良かったんだけどね。

法林:全部入りハイスペックだからね。

石野:富士通は機能をいろいろ詰め込み過ぎちゃったんですよね。売れたからより影響が大きかったというところはあった。だけど、ここから富士通はよく盛り返していますよ。

石川:「MEDIAS BR IS11N」も出てる。

石野:MEDIASはドコモのイメージがありました。

――そして2012年に入るわけですが。

法林:もうつい最近のことだよ。

石野:Androidがかなり頑張っている印象がある。急にiPhoneへユーザーがいくわけじゃなかったんですよね。iPhone 5が出たけど800MHz帯に対応していませんでしたし。

石川:ユーザーから見れば、それまでソフトバンクからしか売っていなかったiPhoneだから、au版が突然出てきたように見えるんだよ。急には浸透できない。

法林:Androidの「HTC J ISW13HT」はよく売れていたもんね。

石川:買いましたよ。

法林:俺も。

石川:お、「AQUOS PHONE SL IS15SH」も出てる。

法林:スライド端末ね。

石野:今ならフリーテルの折りたたみ端末の「MUSASHI」(2016年3月発売)ですね。

法林:SLをやっていたからガラホ(Android搭載フィーチャーフォン)につながっていくんだよね。

石野:「INFOBAR C01」も良いよなぁ。これでガラホつくってくれないかな。あと「GALAXY SII WiMAX」も出てきますね。auでは初のGALAXY。意外とauもGALAXYを早くからやってますよね。この年は「GALAXY SIII Progre」も出している。

法林:HTCもこの年、さらに「HTC J butterfly HTL21」も出して印象をつかんだ感じがする。

石野:HTC J butterflyで日本初のフルHDディスプレイを搭載したんですよ。これが欲しくて10年くらい使っていたドコモの番号をMNPしましたからね。ただ、端子があるのに卓上ホルダが無くて戸惑った覚えがある(笑)。

法林:しかし、もうフィーチャーフォンが無くなってきたね。この年は「K011」や簡単ケータイの「K012」、「PT003」・・・・・・。

――フィーチャーフォンのハイエンドがもう無いですね。

石川:スマートフォンに舵を切るっていう。携帯電話=スマートフォンという時代。

法林:2012年は完全にそうなっちゃってるよね。

石野:2013年になると2月に「INFOBAR A02」が出てくる。開発はHTCなんだけど。この年は「GALAXY Note 3 SCL22」を買ったなぁ。

法林:うちは奥さんがまだ現役で使ってる。

石野:Noteは長く使えて良い機種ですよ。この頃からドコモとGALAXYの価格合戦になっていましたね。当時はau版のほうが安かった記憶がある。

法林:「Xperia Z1 SOL23」はどう?

石野:買いましたよ。

石川:2013年にZ1が出て2015年にZ5(SOV32)が出てるんだから、新機種を出すスピードがおかしいよ(笑)。

石野:たしかに(笑)。あとはスマートフォンの差別化が難しくなってくるなか、2013年は自社ブランドの「isai LGL22」を作っている。これが今のQua phoneにつながる。

――isaiは年度末に値段が下がって爆発的に売れたんですよね。そして2014年。

法林:まず「G Flex LGL23」に「Xperia Z Ultra SOL24」の発売。

石川:"ファブレット"って言ってましたね。

石野:G Flexが6インチ(Xperia Z Ultraは6.4インチ)で、今売れている「Galaxy S7 edge SCV33」が5.5インチと考えると、まだ6インチは早かったかなという気がする。

――曲がるディスプレイやサイズで差別化を図っているということですよね。

石野:差別化のポイントがねー。だけど、今もXperia Z Ultraは使ってますよ。ドコモから出なかったし。ソニーはこのチャレンジ精神をもっと持ち続けるべき。ファブレットはまた挑戦してほしいなぁ。

法林:Firefox OSの「Fx0」もあったね。年末に出た。

石川:クリスマス直前の天皇誕生日に発表会をしたんですよ。

石野:まだ持ってますよ。

法林:俺も買った。

――クリスマスに発売、開発者向けのハッカソンをバレンタインデーとホワイトデーに開催したんですよ。さすがにあれはどうかと(笑)。

石野:あとはVoLTEが始まりましたよね。通話のときの音質が格段に上りました。細かな数字も聞き取りやすい。とくにauの場合はVoLTEの価値がものすごいあると思う。

法林:石野君は「GALAXY Note Edge SCL24」をご愛用でしょう?

石野:まだ使ってますもん。これが今のGalaxy S7 edgeのヒットにつながるわけですよ。

法林:そして昨年、2015年ですよ。こうなるともう半分以上の機種がまだ現行機種って感じだよね。意外と「Galaxy A8 SCV32」が良かった。

石野:動作は良いですよね。それとガラホ。

法林:「AQUOS K SHF31」ね。

石野:今でもこの分野はauが一番。

法林:たしかに考え方は一番進んでるよね。

石野:この形を求めている人に、そこまでのスペックがいるのかという意見もありますけどね。

石川:もっとスマートフォンに近付けて良いくらいだよ。

法林:さて・・・・・・端末の話はこれくらいかな。

石野:長かったですねえ。

――本当に「auケータイ図鑑」を見ながら語ってもらいましたが、ここまで長いとは。30年の重みを感じますね。

石野:スマートフォンだけで10年くらい経っているんですもんね。

3氏の思い入れのある携帯電話とは? そして取材する側が感じる変化

――では、これまで見てきて、この約30年で一番思い入れのある携帯電話となるとどれでしょう? 家で飾っているような端末はありませんか?

石野:「talby」、あとは「INFOBAR」かな。それとauじゃないけどiモード1号機の「F501i」も携帯電話全体で見ると思い入れがありますね。話すモノから使うモノへと変えた端末。それと3機種ともストレート型、好きなんですよ。INFOBARが出たときも折りたたみ型ばかりのなかで、久々にストレートで嬉しかった覚えがある。まだまだストレートでやりようがあるじゃんって。スマートフォンにもこの発想は活かせますよ。同じような形になってもまだやりようがある。

法林:飾っているわけじゃないけど「G'zOne TYPE-R」とその後継の「G'zOne TYPE-X」かな。思い入れだけならTYPE-Rのほうがあるけど、TYPE-Xは今も編集部にかけるときに使っていますよ。

石川:自分はEZフラットに対応した機種かなぁ。

法林:「W11H」や「W11K」だね。

石川:パケ死があった時代にストレス無くケータイが使えるっていうのは革新だったと思うし、パケット通信が定額で使えることで端末も活きてきた。そういう意味で思い入れが深い。

法林:モバイルインターネットの前の時代はね・・・・・・世代もあるんだろうけどまだ思い入れが無い。

石川:そう、フィーチャーフォンであんなことも、こんなこともできるっていう感覚、新たな機能が追加されて、サービスとともに端末も進化していく面白味があった。日本のスマートフォンって「フィーチャーフォンでできることは最低限できないとダメでしょ」っていうのが出発点だから。それでAndroidのスタートに時間がかかったというもあるだろうし。

――発表会とかイベントで印象に残っているものはあります?

法林:やはりWINのEZフラットは「えっ!」って衝撃の覚えがあるよ。

当時、社長兼会長だった小野寺正氏(左から4人目)は発表会でEXILEと一緒に登壇(2006年の記事)

石川:発表会だとドコモが大々的に端末の発表会を行うようになって、プレゼンをするというスタイルが業界的にも発表会のスタンダードになっていった、というのがある。KDDIも小野寺さん(現会長)や高橋さん(現副社長)がやってましたし。今の田中社長になってからは「禁断のアプリ」としてSkype対応したのもインパクトがあった(2010年)。さらにソフトバンクが誕生すると孫さんもやりはじめ、各社豪華なゲストまで呼び始めましたから。

――今はストリーミング配信も行われてますしね。

現社長の田中孝司氏(中央)は「Windows Phone IS12T」の発表会で"プロ"(自称)を襲名(2011年の記事)

石川:だからもう発表会は記者が集まるだけでなく、一般の人たちも見るスタイルになっている。発表会の様子を記者がつぶやいて、それを見た人がまた盛り上がるという。そんなソーシャルの流れがちょうど今の田中社長が就任した頃からでしょう。

石野:それはそれで大変ですけどね。いろんな人がいるから。でっかい発表会にすればいいというわけでもない。派手な発表会があってもいいけど、地味な発表会もあっていい。昔のように機種ごとに発表会をしてもいいわけだし、ちょっと画一化し過ぎている。昔のお手製の発表会でも満足していましたからね。

――海外出張も増えましたよね。

法林:石川君は増えてるよね(笑)。

石川:意図的に増やしたんですよ。ケータイだけなら国内だけを見ていればよかったんですが、スマートフォンになってからグローバルメーカーが参入して、そのモデルが日本に入ってくるようになったから。MWC(バルセロナで開催される世界最大級の携帯電話展示会)、CES(ラスベガスで開催される世界最大級の家電見本市)、グローバルメーカーの発表会も見に行かないといけない。

――iPhoneよりも前からですか?

石川:最初は3GSM(2007年まで開催されたMWCの前身のイベント)ですから。

石野:僕もそれで石川さんが面白そうなことをしているな、と思ってケータイ Watchに頼んでMWCに行ったんですよ(笑)。スマートフォンの前に第3世代携帯電話でグローバルと言い始めたから海外との関係を重視しなきゃと行き始めた。今ほどじゃないですけど、ソニーの海外進出とかノキアの端末を見に行ったりとか。いつの間にか海外発表の端末がそのまま日本で売られるようになって、海外に行かざるをえなくなった、という面が今は強いですね。

法林:今、ケータイ Watchの過去記事を見ているけど、最初の「ケータイ新製品SHOW CASE」は2000年5月。

石野:今も当時のサイトが残っているって凄いですよね。

法林:始めた当時、とくに1年目は大変だったんだから・・・・・・。

石川:あ、また湯野さんのコメントが・・・・・・。

法林:(内容が)厳しいねぇ~。

一同:(笑)。

――もう私のコメントはいいですから!(笑) この時代は広報さんにしつこく聞き過ぎたり、辛口に書き過ぎて怒られましたし・・・・・・。当時の関係者の皆さまには申し訳ございません・・・・・・。

石野:ただ今あらためて読んでいると納得のコメントだったりするんですよね(笑)。

――振り返って気付くこともありますね。「auケータイ図鑑」をきっかけに読者の皆さんも「おもいでタイムライン」やケータイ Watchをはじめとしたメディアの過去記事を読み返したり、自分のアルバムを広げてみると楽しいと思います。今回は思い出話をたっぷり語っていただき、ありがとうございました。

(左から)法林氏、石川氏、石野氏

※この記事は、2016年6月27日に掲載された「ケータイWatch」の再掲載版です。

文:小林 誠

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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